もしも、ピアノが弾けたなら~♪ #04
- Eri Piano Wonderland
- 2024年10月29日
- 読了時間: 3分
“Eri's Piano Wonderland”では、ピアノを通して心を映し出す体験を大切にし、ひとりひとりの感情や思いに寄り添ったレッスンを行っています。
今回は、親子でピアノを習っているHさんのお話を紹介したいと思います。
Hさんの挑戦と葛藤
Hさんは、エネルギッシュで多方面に全力を尽くしている素敵な女性です。会社での責任を伴う仕事、若者への国際教育、英語の学び、そして何より8歳の息子さんの育児に全力を注いでいます。そして、人任せにすることなく、常に実践を欠かしません。
変化を恐れず、新しい環境に飛び込む決断力を持ちながらも、たくさんの葛藤や困難と向き合う彼女。その姿勢は、ピアノの選曲にも反映されています。ここ1~2年、彼女が選ぶのは、物悲しくも激情のメロディーが次々に現れる曲調の作品ばかりでした。
実は、短調が好きな生徒さんは意外と多く、子どもにも大人にも人気があります。切なく心に響く旋律は、年齢や国籍を問わず多くの人々を魅了します。しかし、Hさんが挑戦する曲はどれも難度が高く、挑戦的なものばかりです。
ピアノの前で音符と取っ組み合い、悲鳴をあげ、時にはこちらが少し引くほど(笑)に、思いつめた顔をしながらピアノの前に座ると「フーッ」とため息をひとつついてから、まるで飛び降りるかのような覚悟で弾き始めるのです。
私が「もう少し簡単な曲にしてみたら?」と提案しても、彼女は頑として譲りません。
彼女は、自分の内なる葛藤をピアノで表現したいんだと感じました。私も最終的には観念(?)して一緒に飛び込んで行く覚悟を決めます。........オトナピアノ、恐るべしです。
自分の中に溜まった感情をピアノを通してありのままに表現し、向き合う時間。それは、彼女にとって日常では見過ごしてしまう自分と向き合うための大切な時間だと感じました。
大人のピアノレッスンの醍醐味は、まさにこの瞬間にあるのだと改めて思いました。
Warrior ー戦う者としてのHさん
一歩一歩進むために、指の運びやフレーズの歌い方、反復練習の大切さを伝えながら、私は彼女を密かに"Warrior(戦士)"と呼んでいました。なぜなら、彼女の姿勢がまさに、何かに挑んでいる戦士そのものだったからです。
(ちなみに彼女は私のことを共通の友人に"鬼"と呼んでいるとか。営業妨害にもほどがある!笑)
レッスン中、あまりにも音楽の中に入り込みすぎて溺れかけそうになると、彼女は弾き終わった瞬間やおら立ち上がり、ピューッとキッチンの方へ逃げていき、水をごくごくと飲んで、また戻ってきます。
「難しいね、やっぱりエチュードは」と声をかけると、彼女はいたずらっ子のような目を向けながらこう言います。
「だって、これ『練習曲』でしょ?」
…...確かに、そうだけどね(笑)、と心の中でつぶやきながら、彼女の戦いっぷりに敬服するのでした。

Hさんのピアノへの挑戦は、ただの趣味やレッスンを超え、彼女自身の生き方や心の表現そのものです。彼女の強さと柔らかさが交じり合った演奏は、まさに「音楽は心を映す鏡」。これからも彼女の物語をピアノを通じて一緒に紡いでいきたいと思います。
あなたもピアノを通じて、自分自身を表現してみませんか?
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